私でお役に立てるなら。
その方と、出逢いました。
お年をめして
アルツハイマー型の認知症をお持ちでした。
ベッド横の棚には
それはそれは、小さく上品なマリア様とロザリオの珠が
飾られていました。
ソファで一緒に、聖歌を歌いました。
その方は、思い出し、思い出し
丁寧に歌われていました。
音程は正確でした。
とても楽しい、本当に嬉しい時間でした。
心は高校時代に戻って
涙がでました。
その方は
「私でお役に立てるなら」と言われました。
言葉にならずにいると
「すべて神様に話すんです。
辛いことも悲しいことも、嬉しいことも。
神様はすべて聞いてくださって
そして必要なことを与えてくださるんです。
そして、心が軽くなるんです。」
「修道生活も結婚生活も
苦しいことがありますが、どちらも人の道です。
自分で選んだ、正しい道です。
私は、修道生活でいろんなところに行きました。
沢山の仲間と共に、生きてきて
本当に幸せでした。
何より、お母さんが{いい生き方を選んでくれた}と
喜んでくれたから。」
「あなた、泣かなくても
大丈夫よ~。大丈夫、大丈夫。」
手は、暖かく
私の背中を何度もさすってくださいました。
口元は、ほんのり上がり
マリア様のようでした。
「お部屋のマリア様、
とても素敵ですね。」と私が言うと
「あら、私のお部屋にありました?」と、その方。
くすくすと笑って
一緒に、お部屋に戻りました。
ありがとうございました。
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