私でお役に立てるなら。

花梨

2012年05月12日 01:41

その方と、出逢いました。



お年をめして

アルツハイマー型の認知症をお持ちでした。



ベッド横の棚には

それはそれは、小さく上品なマリア様とロザリオの珠が

飾られていました。



ソファで一緒に、聖歌を歌いました。



その方は、思い出し、思い出し

丁寧に歌われていました。

音程は正確でした。




とても楽しい、本当に嬉しい時間でした。




心は高校時代に戻って

涙がでました。



その方は

「私でお役に立てるなら」と言われました。

言葉にならずにいると

「すべて神様に話すんです。

辛いことも悲しいことも、嬉しいことも。

神様はすべて聞いてくださって

そして必要なことを与えてくださるんです。

そして、心が軽くなるんです。」



「修道生活も結婚生活も

苦しいことがありますが、どちらも人の道です。

自分で選んだ、正しい道です。

私は、修道生活でいろんなところに行きました。

沢山の仲間と共に、生きてきて

本当に幸せでした。

何より、お母さんが{いい生き方を選んでくれた}と

喜んでくれたから。」



「あなた、泣かなくても

大丈夫よ~。大丈夫、大丈夫。」



手は、暖かく

私の背中を何度もさすってくださいました。



口元は、ほんのり上がり

マリア様のようでした。



「お部屋のマリア様、

とても素敵ですね。」と私が言うと

「あら、私のお部屋にありました?」と、その方。




くすくすと笑って

一緒に、お部屋に戻りました。




ありがとうございました。






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